chan Rika blog

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死ぬほど重たい漫画を読む

人が死ぬ漫画を読むのがマイブームである。しかし、ひとえに人が死ぬ漫画といっても大量にある。本来、私は暴力表現が苦手だ。人の骨が折れる瞬間や死ぬ瞬間の描写が苦手なため、グロが苦手と言ってもいい。そんな私が最近人が死ぬ漫画に魅せられているのは、27歳にしてやっと王道のヒーロー展開に飽きてきたからだ。とはいえガチガチの少女漫画好きだった私がただサイコパスな展開を見ていられるものでもない。心理描写や無理のないプロットが好きだ。そんな私が求めているのは今、

残酷なストーリーに向き合う登場人物

である。人が死ぬ漫画が好きだと冒頭で述べたが、別に人の死を見たいわけではないので、人が死ななくてもよい。このような種類の漫画をとりあえず「覇道漫画」としよう。王道の対義語を調べたら覇道とのことだったので(初めて知った)「覇道漫画」。ご都合主義じゃないという意味では間違っていない。
ただ、「覇道漫画」なんて言っても私は歴史モノに疎く(興味がないわけではない)、まだ歴史モノは全然読めていない。だからもしオススメの「覇道漫画」があれば教えてもらえると嬉しい。

突然だが今回は読んで面白かった「覇道漫画」を紹介しようと思う。面白かった順、というのは誰に当てはまるものでもないし、なによりランク付けするのは難しいので紹介順は順不同である。

 

01. ゴールデンゴールド 梶尾省太

ゴールデンゴールド(1) (モーニングコミックス)

 まずは既刊4巻、連載中であるこちら。
あらすじは、田舎の小さな島に住む女の子・早坂琉花がある日海辺で置物を拾う。それは「フクノカミ」と名付けられる。不気味な雰囲気を放つその置物は、早坂の周りに少しずつ変化を与えていく。それはフクノカミの名の通り福をもたらすのだが、どこか不安にさせる、そんな"福"であった。

この漫画の醍醐味は何と言っても「違和感程度の狂気」である。明らかに狂気なのではなく、何か変なのだ。そしてそれは徐々に頭角を現し、勘違いではないことを確信させる。
ただの暴力人間も精神不安定な人間も登場しない。ストーリーでこの不気味さに魅せられる。

その分 次に何が起こるのか予想がつかない。軽い気持ちで、ギャグ漫画を読むような気持ちで、ぜひ一度手に取っていただきたい。

 

 

02. ありがとう 山本直樹

ありがとう(1) (ビッグコミックス)

全4巻。閲覧注意。暴力表現があるので結構精神的に来る人もいるようだ。おすすめしておいて難ではあるが、教育上良くないので未成年は見ないでほしい。

あらすじは、家が不良に占拠され、輪姦・新興宗教・いじめと、様々な困難が一家に怒涛の如く押し寄せる中、それでも決して屈せずに奮闘した父を描き、「家族とは何か」という重い問いを呼びかけている。(Wikipediaから引用)
現実に起きた少年犯罪レポートを読んでいるかのようであり、とても読んでいて気分の良いものではない。しかし、怖いもの見たさを刺激され続ける。
父母姉妹の一家が主要人物であり、ストーリーは美人の姉とボーイッシュな妹を中心に描かれていく。だがこれは一貫して父の物語だ。

正直、感情移入してしまうと読むのが辛くなるのではないかと思う。
異常な精神力で父が家族を守るために奮闘する姿は現実離れしており、読者はそれに振り回されるが、それでも読み終わるとその姿がやっとリアルになるような、愛しく思えるような、そんな気持ちになる。

ありがとう(1) (ビッグコミックス)
 

 

03. リウーを待ちながら 朱戸アオ

リウーを待ちながら(1) (イブニングコミックス)

全3巻。美人女医の玉木涼穂は、小さな町の病院で平穏な日々を送っていた。ある日、駐屯している自衛隊員が吐血し昏倒。その日を境に同じ症状を訴える患者が多数病院へ詰めかける。仕事熱心な玉木は患者を一人でも多く救うべく、自らを危険に晒しながらも第一線で治療にあたる。

以前、誰かに聞いた「ガスというのは本来無臭で、ガスの存在に気付けるように人工的に臭いをつけたのがガス臭さである」という豆知識が印象深く残っている。単純な事実だが、私たちの多くは目に見えない危険物質があるということを、実感として持っていない。
見えない脅威が蔓延すると市民は恐怖に怯えることになる。作中でもパニックが起きる。その恐怖が産む人間模様などを描いた作品である。

1巻のみkindle価格が安くなっているので、バイオロジカル系漫画の好きな方は読んでみてはいかがでしょうか。

リウーを待ちながら(1) (イブニングコミックス)

リウーを待ちながら(1) (イブニングコミックス)

 

 

04.メイドインアビス つくしあきひと

メイドインアビス(1) (バンブーコミックス)

既刊7巻の連載中漫画。アニメ化済み、映画化決定。あらすじは、

孤児院に暮らす主人公の女の子リコが住む国には底知れぬ巨大な縦穴がある。その直径はなんと約1000メートル。アビスと呼ばれるその縦穴には、何人もの探窟家が冒険に出ては帰らぬ人となる。リコもそんな探窟家に憧れている一人だ。母のような偉大な探窟家になるべくアビスに出向く毎日であったが、ある日アビスで不思議な素材でできた男の子レグと出会う。レグには記憶がなく、リコは母を探すため、レグは記憶を取り戻すためにアビスの底を目指すことにする。

設定が細かく練られたSF漫画である。かわいい絵柄だが内容はエグく、伏線が張り巡らされ、考察がはかどるのもこの漫画の魅力のひとつだ。
何よりこのアビスにとても行きたくなる
アビスでは地上とは違う力が働いており、アビス内で上昇すると人間の身体に異変が起きる。浅いところであればめまいや嘔吐、深くなるにつれ全身から血が出るなど症状が重くなっていく。これを「上昇負荷」と呼び、アビスの呪いの一種である。
このように、未知なる縦穴でリコとレグが子どもの身体にはきつすぎるであろう冒険をし、そこでいろいろな事実に出会うというストーリーだ。

この漫画を紹介するためにこのテーマでブログを書き始めたようなものである。とりあえずまず3巻くらいまでまとめて買って、ぜひ一気に読んで欲しい。

 

05.ぼくらの 鬼頭莫宏

ぼくらの(1) (IKKI COMIX)

全11巻。トラウマになった漫画について検索したことがある人ならばおそらく聞いたことがあるであろう「なるたる」(同作者)も覇道漫画として当てはまるが、私は「ぼくらの」の方が好きだと思ったので「ぼくらの」を勧める。

夏休みの自然学校に参加した15人の子どもたち。その中の一人が洞窟を見つけ、全員で進んでいくと一人の男と出会う。男が「ゲームをしないか」と持ちかけ、軽い気持ちで承諾した子どもたちは、地球外生命体から地球を守るロボット"ジアース"の操縦士になる契約を交わす。そこで待ち受けていた子どもたちの運命とは。

というあらすじ。
救いようのない残酷なストーリーである。ロボット漫画だが手に汗握る、熱い戦いの漫画というよりかは、作者の色なのであろう、淡々と冷静に話がすすむ。子どもたちも残酷な運命を背負ってしまったことを自覚しながらも恐怖するだけではなく、様々な感情を抱きながら地球を守ろうとする。
自然教室で出会っただけの15人の少年少女の持つ背景が、のちのち繋がったりするので飽きることなく11巻を読み切ってしまった。
仕掛けや裏切りのあるストーリーが好きな方におすすめしたい。

ぼくらの(1) (IKKI COMIX)

ぼくらの(1) (IKKI COMIX)

 

 

06.HUNTER×HUNTER 冨樫義博

HUNTER×HUNTER モノクロ版 1 (ジャンプコミックスDIGITAL)

少年ジャンプにて連載中。既刊35巻。
王道であり覇道である。

主人公ゴン・フリークスの住む世界では猛獣や魔獣、超人的な能力を持つ人間がたくさんいる。そんな世界でハンター試験という国家試験に受かり、国家権力を得た者をハンターと呼ぶ。ゴンもハンターである父に憧れ、ハンターを目指す一人だ。ハンター試験に挑むゴンが戦わなければならない相手とは?そしてゴンを待ち受ける運命とは。

ハンターになることが物語の目的ではないため、あらすじを述べるのは困難である。
少年漫画にしては過激な描写が多く、登場人物も多いぶん、すぐに人が死んだりする。そしてゴンはこの世界の中でも比較的常人である。自然の中で育ったため動物並みの嗅覚と視力と聴覚がある程度だ。敵は超人的な力を持つのでゴンが勝てるはずがない。少年ジャンプなのに、主人公ゴンはそんなに強くないのだ。
「ゴンは主人公だから死なない」という気持ちで読めない。そういう容赦なさがこの漫画の一番の魅力だ。

中学生男子が思い描く漫画がめちゃくちゃ上手く練られて昇華しているような、絶妙なバランスで厨二感とリアリティが共存している漫画である。
私は最初はなんとなくで読んでいたが、10巻くらい以降からは寝る間を惜しんで読んだ。
まだ読んだことのない方はぜひ読んでみて欲しい。

HUNTER×HUNTER モノクロ版 1 (ジャンプコミックスDIGITAL)

HUNTER×HUNTER モノクロ版 1 (ジャンプコミックスDIGITAL)